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組換えペプチドの精製に適したDAISOGELグレードは?

組換えペプチドは、遺伝子組換え技術を用いて製造されるペプチド医薬品です。この技術により、より長鎖で複雑なペプチドの製造が可能になります。製造は、E. coli(大腸菌)などの細菌宿主や、S. cerevisiae(出芽酵母)、Pichia pastoris(メタノール資化性酵母)などの酵母系宿主を用いた発酵から始まります。

これらの微生物は、発酵工程中に目的の組換えペプチドを発現するよう設計されています。化学合成によるペプチド製造とは異なり、組換え法では宿主細胞由来の残渣、糖鎖修飾タンパク質、その他の不純物が多く発生し、回収後に除去する必要があります。さらに、組換えペプチドは二量体化、凝集、線維化を起こしやすい場合があります。

そのため、組換えペプチドの製造では、目的純度を得るために複数の精製ステップが必要となります。GMP製造では、イオン交換クロマトグラフィー(IEX)に加え、1〜2段階の逆相クロマトグラフィー(RPC)が組み込まれることも珍しくありません。

シリカゲルは、その耐久性と分離能の実績により、逆相ペプチド精製で広く使用されています。ただし、すべてのシリカゲルが同じ性能を示すわけではありません。

逆相クロマトグラフィーによる精製

ここでは、逆相クロマトグラフィー工程に焦点を当てます。組換えペプチド精製に適した固定相を選定する際には、いくつかの重要な要素があります。
シリカゲルは、その耐久性と分離能の実績により、逆相ペプチド精製で広く使用されています。ただし、すべてのシリカゲルが同じ性能を示すわけではありません。

理想的な逆相シリカゲルには、以下の特性が求められます。

アルカリ安定性

クルードには様々な不純物が含まれるため、苛性洗浄剤による定期的な洗浄が必要になる場合があります。CIPはカラム入口側のシリカ充填層に蓄積した自己凝集・線維化ペプチドを除去するために広く用いられる手法です。分離能、ピーク分離、低いカラム背圧を維持するには、この再生操作を定期的に行う必要があります。そのため、洗浄時に最大0.1 M NaOH程度のアルカリ条件に耐えられるシリカゲルが求められます。

負荷量

負荷量は、分離プロセスの経済性を高めるうえで重要な特性です。負荷量が高いほど、1サイクルあたりに処理できる組換えペプチド量を増やすことができます。

機械的強度

分取または製造スケールのカラムを抜き出し・再充填し、カラム効率の改善や充填剤寿命の延長を図る必要があります。そのため、複数回の軸方向圧縮充填に耐えられる高い機械的強度を備えたシリカゲルが求められます。

複雑なペプチド精製に向けて設計された新しい固定相

DAISOGELでは、こうした課題に対応するため、長年の研究開発により、PKグレードを開発しました。

PKグレードは、高分離能に寄与する10 µm粒子径と、高負荷量に適した100 Å細孔径を備えています。さらに、当社の高度な表面修飾技術により、一般的な逆相シリカゲルと比較して優れたpH耐性を実現しています。また、特別に設計されたシリカ骨格により、粒子に高い機械的強度を付与しています。

PKグレードの性能を実使用条件で確認するため、インスリンクルードを用いた精製ケーススタディを実施しました。

PKグレードの詳細は、製品資料をご覧ください。

ケーススタディ:PKグレードによるインスリンクルードの99%以上への高純度化

本資料では、PKグレードにより、初期純度72.5%のインスリンクルードを99%以上まで高純度化できることを示します。クルードの初期純度はHPLCにより確認しました。
クルード溶液の品質が低いため、下流精製プロセスの設計は難しいものでした。まず、ポリマー系強カチオン交換クロマトグラフィーにより純度を88.0%まで向上させました。その後、最終目標純度を達成するため、PKグレードを用いた2段階のRPCを実施しました。

低純度クルードインスリンを用いたPKグレードの分離精製評価

RPC Step 1:C8-PKグレードを用いた硫酸アンモニウム/硫酸系でのアセトニトリルグラジエント

最初のRPCステップでは、分取用DAISOGEL SP-100-10-C8-PKカラムに、IEX精製後のインスリンを15 g/Lの負荷量でロードしました。
収率90%を目標とし、硫酸アンモニウム/硫酸を含む条件下でアセトニトリルグラジエントを適用しました。

過負荷条件(15 g/L)におけるDAISOGEL SP-100-10-C8-PKの溶出プロファイルおよびフラクションカットポイント

回収したインスリンピークを分析した結果、RPC Step 1の回収画分では、収率90%で純度97.0%が得られました。

高収率を維持した純度の大幅向上

RPC Step 2:C8-PKグレードを用いた酢酸アンモニウム/酢酸系でのアセトニトリルグラジエント

99.0%を超える目標純度を達成するため、2段階目のRPCでは、分取用DAISOGEL SP-100-10-C8-PKカラムに、RPC Step 1で精製したインスリンを15 g/Lの負荷量でロードしました。
同じく収率90%を目標とし、今回は酢酸アンモニウム/酢酸を含む条件下でアセトニトリルグラジエントを適用しました。

過負荷条件(15 g/L)におけるDAISOGEL SP-100-10-C8-PKの溶出プロファイルおよびフラクションカットポイント

回収したインスリンピークを再度分析した結果、RPC Step 2回収画分では、回収率90%で純度99.7%が得られました。

収率を維持したインスリン純度99%目標値の達成

結論

組換えペプチドは構造が複雑であり、精製が難しい場合があります。インスリンはその代表的な例です。このような化合物において、収率を維持しながら99%以上の純度を達成することは、製品安全性とプロセス経済性の両面で重要です。

DAISOGEL C8-PKグレードは、高い比表面積、負荷量、機械的強度、分離能を備えていることから、低純度のインスリンクルードの精製に選定されました。

IEXステップ後に2段階のRPC精製を行うことで、回収率を維持しながら99.7%の純度を達成しました。

ステップ純度(%)
クルード72.5
IEX88.0
RPC197.0
RPC299.7