テクニカルノート

トラブルについて

圧力が上昇してしまいました。どうしたらよいでしょうか?

まず、分析系の出口から順に接続部を外していき、昇圧の原因箇所を特定します。そして、原因と思われるパーツの交換等を行います。

使用していくうちに圧が上昇するようになりました。カラムの部分で昇圧が生じているようなのですが、その原因と対処法を教えてください。

しばらくご使用いただいたのちに生じた緩やかな昇圧の場合は、カラム寿命の可能性が高いです。カラムの交換をおすすめします。使用開始直後から注入するごとに圧力が上がる場合には、試料に不溶物が混入している可能性があり、フィルターもしくはカラム入り口の詰まりが考えられます。圧が上がってしまったカラムを、逆向きに取り付け出口側を接続せずに移動相を通液します。それでも改善されない場合には、カラムを交換してください。なお、試料中の不溶物はあらかじめフィルターを通すなどして取り除くようにしてください。

ガードカラムを用いた分析を行っていますが、カラム圧が上昇してしまいました。どうしたらいいでしょうか?

ガードカラムをはずして圧力が下がり分析カラムの圧力が正常であれば、ガードカラムのみを交換してください。分析カラムの圧力も上昇しているようであれば、ガードカラムと分析カラムを交換してください。

保持時間がばらつく原因には何が考えられますか?

保持時間が、徐々に短くなっているようであれば、官能基の切断等によるカラムの劣化の可能性があります。保持時間が遅くなったり早くなったり、ばらつきがあるようであれば、移動相の送液安定性やカラム恒温槽の温度安定性に問題がある可能性があります。送液安定性についてはピペット・メスシリンダー等を用い、実際の移動相の送液量を確認します。また、恒温槽は室温の影響を受けますので、設定温度は少なくとも室温+5℃以上の設定とします。その他、試料溶媒に移動相よりも溶出力の高い溶液を用いることで、保持時間やピーク形状に影響が出ることもあります。試料は、移動相で溶解するかもしくは希釈します。

ピーク面積が変動してしまいます。どんなことが原因として考えられますか?

ピーク面積が変化する原因として、オートサンプラーの注入再現性やサンプルの安定性、移動相条件などが考えられます。オートサンプラーのシリンジにエアが混入していたり、洗浄液が無くなっていたりすることで、注入再現性が低下することがあります。オートサンプラーの動作をご確認ください。その他、サンプルが、試料溶媒中や移動相中で不安定だったり、サンプルチューブやインジェクターに吸着したりする場合にも再現性は得られません。サンプルが安定に溶解する試料溶媒、移動相に変更してください。

ピーク形状が安定しません。考えられる原因は何でしょうか?

移動相と試料溶媒で試料の溶解度に大きな差が生じる場合には、ピーク形状が安定しない場合があります。試料溶媒は、移動相で溶解するかもしくは希釈します。洗浄液には移動相から塩を除いた移動相と同比率の溶液を用いるようにします。これらに極端に組成が異なる(特に溶出力の高い)溶液を用いた場合には、試料を拡散させピーク形状に影響を及ぼすことがあります。
また、特定の化合物のみでピーク形状が安定しない場合には、化合物の特性に由来する原因が考えられます。たとえば、イオン性の化合物で、移動相のpHがイオン型と分子型が共存するpHになっている場合など、結果にばらつきが生じる場合があります。移動相のpHは、目的化合物のpKaの値から±2離れた値に設定します。その他、配位化合物など充填剤表面への吸着が原因となっているような場合には、移動相の変更のほか、適したカラムの選択が必要な場合もあります。

ピークがリーディングしています。どのような原因が考えらますか?

移動相と試料溶媒に対する溶解度の差が影響している可能性があります。試料溶媒には移動相に近い組成の溶媒を用いるようにしてください。また、負荷量が多すぎる場合にもピークがリーディングする場合があります。その場合には、注入量を減らすことで現象が改善されます。溶出している全てのピークで同じようにピークリーディングが観察される場合には、カラム寿命である可能性があります。そのような場合には、カラムを交換してください。

メタノールのみでSTDを調製したところピークが割れてしまいました。この場合、STDまたは製剤の調製にはどの様な溶媒を用いたら良いのでしょうか?

ピーク割れは、移動相と試料溶媒との溶出力の差によって生じている可能性が高いです。サンプル調製は移動相で行うのが一般的です。保存用サンプルはメタノールで調製し、実際に注入するサンプルは移動相で調製(希釈)するなど、STDも製剤も最終的な試料溶媒は移動相に近い溶媒となるように調製してください。粉末製剤やローションの場合は、移動相に直接溶解します。乳化製剤の場合は、メタノールを添加し、超音波分散して乳化を壊した後、水を加えて、最終的に移動相と同じ比率なるように調製し、もう一度超音波分散後、ろ過するのが一般的です。

アセトニトリルを用いたグラジエント分析をしていますが、紹介されているアプリケーションデータとは違ってベースラインのドリフトが非常に大きく分析できません。何が違うのでしょうか?

アセトニトリルのグレードに問題がある可能性があります。アセトニトリルは、HPLCグレードと特級グレードとで、UV短波長領域での溶媒自身の吸収が大きく異なります。HPLCグレードでは短波長での吸収が小さく、特級グレードでは短波長において吸収が見られます。したがって、特級グレードのアセトニトリルにて、UV 215nmなど短波長検出のグラジエントを行うとベースラインが大きくドリフトする可能性があります。移動相に用いる溶媒は、HPLCグレードを使用してください。特に、THFでは、HPLCグレード以外のグレードは、酸化防止剤が入っており、大きな吸収を持っていますので注意が必要です。

グラジエント分析中に移動相を空にしてしまいました。カラムはもう使用できないのでしょうか?

このようなケースでは、また通液を開始することで使用可能になる場合がほとんどです。次の手順で通液を再開してください。

  1. カラムの出口側を外します。
  2. グラジエントの初期濃度(初期組成)で通液を行います。カラムの出口から移動相が出てくることを確認します。
    ※初期組成で通液ができない場合は、50%以下のアセトニトリルを通液してください。圧力がかかるようでしたら、流速を落としてください。水系の移動相が緩衝液であり、カラム内で析出している場合は、カラム交換が必要なケースもございます。
  3. 通液が可能になったら送液をいったん止め、カラムの出口を接続して送液を行ないます。
  4. 装置配管の一番最後の出口まで液が流れていることを確認できたら分析条件の一番アセトニトリル濃度の高い条件にし、充分なエア抜きを行ないます。
    ※検出器のセルにもエアが混入しているかと思いますので、充分なエア抜きを行なってください。
  5. ベースラインが安定したことを確認し、分析を再開してください。

現在、イオンペア法での分析を行っています。比較的良好な分析はできているのですが、日によってメインピークの前に微小なリーディングが発生します。また、新しいカラムを使用する際や、洗浄後などは、なかなか、もとの良好なピークにならず、ひどい時には完全にピークが割れてしまうこともあります。安定すれば問題なく分析できるようなのですが、何かカラムのコンディショニングや装置上の問題として考えられることはないでしょうか?

イオンペア法では、カラムの平衡化に時間がかかります。新しいカラムを使用される際には、平衡化を充分に行ってください。また、通常カラム洗浄はおすすめしておりません。その他に考えられることとしては、試料溶媒の影響です。サンプルの調製(希釈)はイオンペア試薬を含む移動相で行ってください。また、オートサンプラーをご使用の場合、洗浄液には移動相から塩を除いた同等の有機溶媒比率の溶液を用いていただくことをおすすめします。極端に組成が異なる(特に溶出力の高い)溶液を用いた場合には、試料を拡散させピーク形状に影響を及ぼすことがあります。

カラムの寿命はどのくらいなのでしょうか?

カラムの寿命は、測定されるサンプルの状態や測定条件等により大きく異なります。カラム寿命は、ご使用されるユーザーさまでご判断いただきます。使用開始時のカラム状態をご確認いただき、測定に必要とされる許容範囲をあらかじめ設定いただき、その範囲の性能が保たれているかどうかご判断いただきます。カラム性能を確認する項目としては、理論段数や分離度、ピーク形状、保持時間、圧力等があります。確認するための試験法もお客さまがそれぞれに設定されています。なお、私どもでは、カラムにカラムレポートを同梱しており、理論段数、保持時間、圧力で出荷時のカラム性能をチェックしております。カラム寿命の確認にこちらの試験法をご活用いただくことも可能です。

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