前処理の方法は、マトリックスや濃度、夾雑物の存在状態によって変わってきます。特に問題がなければ、移動相で希釈後、フィルターを通してHPLC用サンプルとします。必要に応じて抽出操作などを行い、HPLC用サンプルとします。最も簡単な抽出方法は、目的化合物が溶解しやすい溶媒で超音波分散後、遠心して上清をフィルターろ過し、移動相で希釈あるいは乾固後に移動相に再溶解してHPLC用サンプルとする方法です。
不溶物をとりのぞき、なおかつ、圧がかからずろ過できるフィルターが0.22μmだからです。0.45μmですと、不溶物の除去が充分に行えずカラムの寿命が短くなる傾向がありますのでおすすめできません。これ以上細かいと、圧が高すぎてろ過ができません。
MFカラムでは、タンパク結合型薬物はタンパクとの結合を切断した状態で遊離型薬物として測定します。したがいまして、タンパクと一緒に溶出するということはありませんが、移動相や試料注入量によりその挙動は異なる傾向があります。
界面活性剤を除去せず、HPLCで分析していただいてもカラムの化学安定性に問題はありません。ただし、移動相条件、界面活性剤の種類によっては溶出せずにカラム内にとどまることが予想されます。
そのような場合には、カラム圧の上昇が認められ、カラムの劣化を早める傾向があります。界面活性剤の除去としては、固相抽出法やプレカラムを使用した分析カラムの保護が考えられます。固相抽出法は、固相抽出用のフィルターあるいはカートリッジを用いて界面活性剤の除去を行なう方法です。場合によっては、固相抽出法を応用し、カラムスイッチングによるオンライン除去をすることも可能です。
プレカラムを使った保護は、分析カラムの前にガードカラムを取りつけ、分析カラムを保護し、ガードカラム交換により分析カラムを長く使用する方法になります。